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2012.02.20 Mon 晴瀬ひろき先生のツイート「漫画家による書店への営業について」について。

お早う御座います。
戒厳令の信楽で御座います。

本日は体調を崩して寝込んでいたため、ブログの更新は軽く済ませようと思っていたのですが。


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漫画家による書店への営業について
(かーずSPさん経由)


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なにげにネットを見ていたら見つけてしまった書店ネタ。
……見てしまった以上はコメントしなければ(笑)。



えー。
私が勤めているのは専門店ではなく、一般の書店です。
(ちなみに店が最も力を注いでいるジャンルは、学参)
その一般の書店である勤務先でのお話なのですが……


実は、その勤務先には漫画家さんご本人が営業にいらっしゃることがよくあったりするのです(笑)。

事前に電話でアポを取られる先生も、飛び込みの場合も御座いますし,版元の営業さんや編集さんがご一緒の場合も、先生お一人の場合も御座います。
(どちらかと言うと、お一人のことが多いでしょうか)

なお他の業界では考えられないことだと思うのですが、実は出版営業さんは、なぜかアポ無しでいらっしゃられることがほとんど(9割以上、ほぼ100%(汗))ということもあり、書店的にはアポ無しでも無問題だったりします。
ただし飛び込みだと、担当の店員(チーフやそのレーベル担当の人)が非番や休憩だったりして、お会いできないことが御座います。

で。

おいで下さった先生方は、POPや色紙、直筆のペーパー(本に封入する最近流行りのもの)を置いて行かれることが多いですね。
中には、サイン本を作ることを快諾戴け、その場で在庫の本(10冊くらい)に急遽サインを入れて下さる先生も。

そんなご本人営業で、最も多いパターンは、


「先生が地元に住んでいらっしゃる場合」

「先生が地元出身である場合」



でしょうか。
その場合には、よくPOPに「○○○(市区町村名)に住んでいる△△△です」と書いて下さっておりますね。

また、作者ではなく、ご家族が営業にいらっしゃられることもあります。
この場合は、初単行本である場合がほとんど。
事実上のデビュー作で、ご家族で応援なさっておられるのでしょうね。

「昔から通っていた地元の書店で是非売って欲しい」

とのお話を戴いたこともあります。

またご本人営業は、圧倒的に少女漫画家さんが,ついでBL漫画家さんの場合が多く感じられます。



さて。
漫画家さん・編集さん・営業さん・出版社さんの内部的な兼ね合い(作家が直接営業するのを、出版社が快く思わない等)は、私は分かりかねますので……
あくまで書店,あくまで勤務先での事例では御座いますが。
まとめに御座いました


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①効果のほどが分からない
②書店さんとしてもどう反応していいか分からないだろう(逆に迷惑?)


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に対するご回答を。

実は作家さんご本人営業、書店としてはとても有難いことなのです!(きっぱり)
なにしろ確実に売上増へ繋がっている印象がありますので。
特に地元在住の先生だった場合には、

「この漫画の作者って、ここに住んでいるんだー 買ってみよう」

と、今まで作者や作品を知らなかったお客様にご購入戴けるケースも、多々確認しております。
しかも某作品(4コマもので第1巻)の時には、グループの他の支店と比べて2ケタ売上部数が違ったということが実際に御座いまして、店員一同度肝を抜かれました(汗)。

……まぁここまで極端な例はともかくとしても、既存読者による売上増だけではなく、新たなお客様の開拓にも繋がっていることは間違いないようです。
しかも、このようなことがあった場合、その続きの新刊が出た時も売上があまり下がっていないことが多いため、作者効果は続巻にも影響があるように思えますね。
また書店としても、

「*巻の時に直接先生が来て下さったのだから、これも頑張って売ろう!」
「多めに発注しよう!」


という気分になることが多いのは否定出来ません。
(というか、なります(笑))



そして。
書店として喜ばしいという最大の理由は、他店との差別化が出来るということでしょうか。

――ヤ、近隣に競合店がある場合、そちらにも確実に先生が行かれていることが多いので(笑)効果は薄いと思われるかもしれません。

が、今や競争相手には近隣店だけではなく、都心部の大型書店やネット書店も含まれておりまして(汗)。
少なくともそちらとは確実に差別化ができますから、とても有難いと感じております。

ですので、編集さんがおっしゃられている

「②書店さんとしてもどう反応していいか分からないだろう(逆に迷惑?)」

については、少なくとも勤務先の店舗では大歓迎。
過去の例と同様に、POPや色紙を戴ければ飾らせて戴きますし、棚の前にPOP付で平積展開をさせて戴くことになると思いますです。
はい。










……ってゆーかですね。
もっと極端で単純でヒドイ言い方をすれば。
ぶっちゃけた話。
書店としては


本の売上を
伸ばせる手段ならば、
どんなことだって有難い



のです!!(笑)
(※商売的な意味で)



……むぅ。
軽くとか言っておきながら、しかも先生が見ているわけでもないのに(笑)長々と書いてしまい申し訳ないです。
最後に。
申し訳ないついでに、おこがましくもアドバイスをさせて戴けるなら。

えー。
漫画家の皆様。
もしご本人が書店へ営業へいらっしゃるなら、絶対に[コミック担当(店によっては更にレーベル担当)の店員]とお会いになられた方が良いと思われます。

と言うのも。
一般書店では、コミックの担当を学生アルバイトさんがやっていることがほとんどでして。
(※少なくとも勤務先のグループでは。(※除く:勤務先の店舗(笑)))
実はコミックは、他のジャンルと比べて発注や管理などが特殊なため、社員(店長を含む)が担当するのを嫌厭する場合が多かったりします。
(他のことで手一杯で、特殊なコミックの管理まで手が回らないという話もある)

結果、漫画に詳しいアルバイトの子に 丸投げ お任せしていることが多くなるようです。
(逆に言うと、好きでもないとやってられない(ぉぃぉぃ))

で。

営業活動の際、棚を直接管理している人とお話するのとしないのとでは、今後の対応に雲泥の差が生まれます。
その理由は簡単。
なにしろ直接棚のメンテナンスをしているのは彼・彼女らなのですから。
(商品を棚や平台から外すのも増やすのも、長期展開にするのも胸先三寸)

直接面倒を見ている人が、人伝で

「今日○○先生が来て、ヨロシクってPOP置いてったよー」

と聞くのと、直接作者本人から

「よろしくお願いします」

と言われるのとでは、モチベーションの違いは明らかで御座いますので(笑)。



そんなワケで。
売上を伸ばして、皆で幸せになりましょう!
(ぉぃぉぃ)





【※追記※】2012.02.22

えー。
本文内でも触れておりますが、今回の記事はあくまで【書店側】・【書店員側】から見た意見で御座います。
出版社さん(編集さんや営業さん)側からは、また別のご意見・ご事情があると思われます。
特にご指摘戴いているのが、

「作家が直接営業するのを、出版社の編集さん・営業さんが快く思っていない,または慎重である」

ということでしょうか。
私のような一書店員には版元さんのご事情は分かりかねますが……

あくまで勝手な推測をさせて戴けるのでしたら。


書かせて戴きましたように、書店にとっては営業して戴くことによって

他店との差別化

がはかれるというのが最大の利点なのですが……
出版社さんにとっては、逆に

他店との差別化がなされてしまう

ことが問題なのではないかと(汗)。

「同地域で競合しているA店ではやったのに、B店ではやっていない」

ということで、B店から版元さんに対して不満の声が上がることが予想されるわけです。

「おたくの特約店にまでなっているのに、ウチに来ないとは何事だ」
「おたくにとって、ウチは重要ではない書店なのですね」


と。
……まぁ普通言わないと思いますけど(苦笑)、可能性が有る無いで言えば有るわけです。

そして出版社さんにとっては両店とも大切な取引先ですから、こう言うれてしまう・思われてしまうことは避けたい事態なのだと考えられます。


しかも。
この件で最大の問題は、書店からクレームが来たとしても、作家さんが個人的に行ったことなので

出版社側がそれを把握していない

ということなのだと思います。

クレームに限らず、何か問題が生じた時に、事情を知っている人,対処出来る人が居ないというのが、やはり危険だと思われているのではないかと。
これが版元主導のキャンペーンか何かであれば、企画・許可した営業さんなり編集さんが責任をもって対応出来ますから。


と。
……いやまぁ、あくまで私がそう勝手に推測しているだけですけどね(汗)。


ですから、私ごときが言うのは問題があるかもしれませんが、先生個人が営業まわりをされるとしても、編集さんなり営業さんなりにお話を通されてからの方が、のちのちへ遺恨を残さずに(汗)済むのではないかと思われますですよ。



なお。
上記であげた問題なんですが、私が知るかぎり「作家先生営業」で起こったことは御座いませんが、サイン会では実際に起こったりしている問題だったりします(汗)。

いや、もちろん先生が個人的に行ったものではなく、版元さん主導のサイン会でしたが……
それでも起こるのです。

「A店ではやるのに、ウチではやらんのか」

と。
これがまた更にビッグネームの先生だったりすると、単なるサイン会だけの問題ではなく、商圏内のお客様からの店に対する格付け的な印象に、ひいては信用・信頼の問題に繋がったりするわけで。

ちなみに勤務先が言われたこともありますし、逆に言ったこともあります(笑)。
(ぉぃぉぃ)










……大人の世界って、やーねぇ。(ほふぅ)

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Comments

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3号 : URL

#- 2012.02.20 Mon 21:55

やはり直接著者の方が来られるとお店としては当然プッシュしたくなりますよね~

当店は地方の郊外店なのでそんなに著者の方が来店される頻度はないのですが…
会社の方針で地元出身の著者は出来るだけプッシュするように言われるので、以前○○○新人賞を受賞した作品を平台展開していたら、著者本人が来店され「他の書店ではこんな展開をしてくれていないので感激した」と挨拶された事もあります。
(その後、交流も深まって担当スタッフとは「友人」状態に)

逆に大御所過ぎてあまり展開していなかった著者の方が、
上記の新人著者と飲んだ席で「おたくはお店が協力してくれていいな~」と愚痴っていた事もあるらしいです。
(直木賞とったんで急にコーナー作りましたが…)

あと、BL作家さん一時期アルバイトで働いていました。
今は本業(もちろん作家)1本ですが、仲はいいので交流は続けています。

結果的に売れれば著者さんもお店も有難い事ですよね。
(版元さんが嫌うのは書店間で差が出ると対応に苦慮するからですね)

信楽恭志郎 : URL Re: タイトルなし

#- 2012.02.20 Mon 22:31

> 3号様。

> やはり直接著者の方が来られるとお店としては当然プッシュしたくなりますよね~

そうなんですよねぇ(笑)。

> 会社の方針で地元出身の著者は出来るだけプッシュするように言われるので、以前○○○新人賞を受賞した作品を平台展開していたら、著者本人が来店され「他の書店ではこんな展開をしてくれていないので感激した」と挨拶された事もあります。

おお、それは凄い(笑)。
勤務先のグループでも、コミックは無視されておりますが(笑)、文芸書では同様に地元出身の著者はプッシュしろとの指示が出ていましたね。

> あと、BL作家さん一時期アルバイトで働いていました。
> 今は本業(もちろん作家)1本ですが、仲はいいので交流は続けています。

うちでも以前3人ほど――
って、これ書いたらマズイか(汗)。

> 結果的に売れれば著者さんもお店も有難い事ですよね。

そうなんですよ。
まさに「皆で幸せになろうよ」((C)後藤隊長)です。

> (版元さんが嫌うのは書店間で差が出ると対応に苦慮するからですね)

おそらくそうでしょうね。

「競合しているA店でやっているのに、なぜウチでやらないんだ!」

と。
版元としては当然両店と取引しているわけですから、両方に良い顔をしなければなりませんし。

……実はここだけの話。
昔、競合店でのサイン会絡みで、某超大手出版社(の営業さん)と店長が喧嘩になったことがあったりします(汗)。

通りすがりの書店員 : URL

#LBqw/GqA Edit  2012.02.21 Tue 01:03

漫画・ラノベの担当をしていますが、作家さんどころか営業さんすら・・・
一般書店では漫画はあまり重視されていないのかも

なお当店の周辺が舞台の某漫画は売れまくってます(笑)
会社が作家さんにサイン会を持ちかけたら断られたらしいですが(泣)

信楽恭志郎 : URL Re: タイトルなし

#- 2012.02.22 Wed 19:47

> 通りすがりの書店員様

> なお当店の周辺が舞台の某漫画は売れまくってます(笑)
> 会社が作家さんにサイン会を持ちかけたら断られたらしいですが(泣)

おお、いわゆる聖地ってヤツですね(笑)。
……羨ましい……。

勤務先もそうですが、書店側からお願いするサイン会は実現することが滅多にありませんねぇ(泣)。

信楽恭志郎 : URL Re: タイトルなし

#- 2012.02.22 Wed 19:52

> 通りすがり様。

コメント有難うございました。

一応、本文に追記させて戴きました。

書店員として : URL

#- 2012.02.22 Wed 20:35

過去に都内にいくつか店舗のある系列の書店のコミック担当で、現在はあるジャンルのマニア向けの店の書籍を担当している者です。
作家さんの直接の営業は個人的には対応に困ることが多いというのが正直なところです。
特に著書にサインを入れるという申し出に対しては本当に勘弁してくれ、という経験のほうが多いですね。
ご本人を前に無下に断るのも何ですし、かといってサインの入った本は返本が利きませんので…
有名作家さんの本は営業されなくても当然売れるわけで、直接営業に見える作家さんの本は正直返本のリスクが高いわけですから、ポップや色紙はいくらでも置かせていただきますが、サイン本だけは申し出ないでくれ、と毎度毎度願っていたりします。
あくまで個人的意見ですが、営業にきてくれるのはありがたい、という意見にはちょっと賛同しかねるというのが実際のところですね。

信楽恭志郎 : URL Re: タイトルなし

#- 2012.02.22 Wed 21:31

> 書店員として様。

コメント有難う御座いました。
もちろん、お店や会社によって事情は異なりますし、それは承知しております。

が、今回のエントリーは、先生のツイートに対し、あくまで「私の勤務先の店舗での事例・対応」,「私の個人的な意見」としてお断りをした上で書かせて戴きました。
何卒ご了承下さい。

ですが、改めましてこの場にて「全ての書店,全ての書店員がそうであるとは限らない」と申し上げさせて戴きます。

なおサイン本についてですが、勤務先の事例は「先生からの申し出」ではなく、「店側からお願いした」ことだったりします。

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